大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(ネ)258号 判決

前記当事者間に争のない和解条項によれば、右和解における土地の賃貸借は普通建物の所有を目的とし存続期間の定めのないものとみられる。しかるに昭和十五年勅令第六百二十一号により同年九月二十六日から甲府市に借地法が施行されたのであるから、同法第十七条の規定により、その存続期間は賃貸借設定の日から二十年とされることになつたのであつて、前記当事者間に争ない事実によれば、本件和解における土地賃貸借の始期は昭和六年九月一日であるから、右賃貸借は昭和二十六年八月末日まで存続し、右存続期間満了の場合は同法第四条、第六条の適用を受くべきものといわなければならない。しかるに前記和解調書第五項は、賃貸人において何時でも土地明渡を催告することにより十八ケ月間の猶予期間の経過とともに賃貸借を終了せしめ得る趣旨の定めと解されるので、借地権の存続に関する同法第十七条第一項所定の期間が貸主の意思のみにより短縮されることもあり得ることになり、借地権者に不利なものであるから、右第五項は借地法施行後にあつては同法第十一条によりその定めがなかつたとみなすべきものといわなければならない。もつとも同条の文言からすれば借地権の存続期間については借地法施行後に成立したものに関する同法第二条の規定に反する契約条件について規定するのみであるように見られないでもないが、借地法施行前に成立した借地権の存続期間について規定した同法第十七条もこの点につき同法第二条と異る取扱をすべき理由は少しも考えられないから、同法第十七条に反する定めについても、同法第十一条の適用を除外されないものと解すべきである。

(梶村 室伏 安岡)

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